戦の神とエテルマリアの少女

エピローグ – これから

Work by ネオかぼちゃ

はやる気持ちに突き動かされながらその場所に向かう。
青い空、陽光を反射して眩しく輝く建物、遠くの潮の香り、街を彩る花の香り。いつもと違うのはあの騒がしさがないことだろう。
いつもの待ち合わせの場所。そこに彼女はいた。神殿の扉を開いたステンドグラスの下、いつものように。

「フェル。」

呼びかけに少女が振り返る。毛先にクセのある長い緑の髪が日の光を受けてゆらめく。
フェリカはロアを見とめると顔を綻ばせた。

「約束通り、迎えに来たぞ。」
「うん、信じてた。」

手の平に重ねられた小さな手をロアはしっかりと握る。
大きな身体を屈めてベールを上げ、その閉じた瞼にキスを落とす。
あの夜と変わらぬ愛を込めて、戦神の祝福と加護を込めて。
唇が離れ、フェリカの瞼が開く。ロアと同じ青空を宿す瞳で笑いかける。

「これからよろしくね。ロア。」
「ああ、これからはずっと一緒だ。フェル。」

そうして二人、神殿の外へ歩み出した。


ロアに与えられた役割は地上の戦闘に関わる全ての管理。そしてもう一つは最高神アルが創り出したこの世界を外敵から守護する戦力。
破壊神に大敗し、手足を奪われた日。幼かったあの日からただ一点、破壊神を打ち倒すために刃だけを研ぎ澄まして来た戦神はふと地面を見て、野に咲いた花の尊さに気づき、捨てた盾をもう一度拾って歩き出す。
大切な人を守れるように。より多くを守れるように。


END

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